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TOP : 組織犯罪処罰法改正案の閣議決定に対する抗議声明(「教会と国家」委員会)
投稿者 : doumei 投稿日時: 2017-06-13 15:04:39 (263 ヒット)

201743

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

法務大臣   金田勝年 殿

151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-23-14

日本同盟基督教団「教会と国家」委員会

委員長 柴田智悦

 

組織犯罪処罰法改正案の閣議決定に対する抗議声明

 

 私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は、安倍内閣が3月21日「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)の国会提出を閣議決定し、国会に提出したことに以下の理由で抗議し、国会での廃案を強く求めます。

 

1.すでに3度も廃案となった共謀罪法案にすぎないこと

 本法案について、政府は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」にテロ等準備罪を盛り込む等テロ対策の法案であるとします。また政府は「組織的犯罪集団」「計画」「準備行為」という言葉を法律に盛り込んだので「共謀罪法案」ではないと説明します。しかし、「組織的犯罪集団」「計画」「準備行為」という言葉を法律に入れたとしても、上記の言葉は何を指すのか曖昧かつ広範囲で処罰対象を限定することにはなりません。したがって、結局、人と人が話をするだけで処罰をするという共謀罪法案にすぎません。共謀罪法案は、2003年、2005年、2009年と3度も廃案となりました。

 

2.「テロ対策」という立法目的が存在しないこと

(1)条約に関して

 政府は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(略称「国連越境組織犯罪防止条約」「パレルモ条約」「TOC条約」)の批准のために本法案が必要であるとします。しかし、上記条約は、マフィア対策の条約で、経済的利益を追求する国際的な組織犯罪を防止することを目的としており、テロ対策を目的としていません。

また、日本はすでにテロ対策の国際条約を全て締結しています。外務省も、2017年1月27日にホームページを書き換えるまで、日本はテロ対策の国際条約を全て締結し、対応していると説明しています。

(2)国内法に関して

 日本の刑法やテロ対策を含む特別法規等の法律によって、予備・陰謀段階からの規制がなされています。

(3)以上から、上記政府が説明する立法の目的は、存在しません。

 

3.基本的人権の侵害

 日本国憲法は、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とし、その保障を目的としています。

 そして、日本国憲法は、国家が何を処罰するのか、ということを国民の代表者で構成される国会の立法によらなければならない、そして処罰の対象はおよそ一般人がわかるように明確でなければならないという罪刑法定主義を定めています(日本国憲法31条)。上記のとおり、政府の説明は欺瞞に満ちており到底国民が納得するものではなく、何が処罰されるのかおよそ一般人にはわからない曖昧なものであり、罪刑法定主義に反します。

 また、本法案は277の犯罪の共謀を処罰対象としているので様々な会話、メール等あらゆる人と人とのコミュニケーションが処罰対象となります。捜査機関は、通信傍受等によって上記コミュニケーションの監視と捜査を行い、人々のプライバシーが侵害され、人々のコミュニケーションを萎縮させます。さらには、本法案には自首による刑罰の軽減・免除を規定し、人の集まりの中に捜査機関に密告等協力することを奨励しているので、人間関係を破壊する危険があります。これらは、表現・集会の自由、あらゆる人々が日常的に交流する自由を侵害します。キリスト者が互いに交流し教会を形成するといった信仰に関する自由をも脅かすものです。

 加えて、人々が自由にコミュニケーションすることは、一人一人がその人らしく生きるために極めて重要なものであると同時に、民主主義の前提です。上記のとおりの人権を侵害する本法案は、民主主義を破壊するものです。

 

4.刑法の行為処罰の原則に反する

 上記のとおり、基本的人権の保障を目的とする近代憲法下では、刑法では、一人一人の生命・身体・財産等(以下「法益」といいます。)を侵害したことを刑罰の根拠としています。したがって、近代刑法は、法益が侵害する行為のみを処罰する既遂処罰の原則に立っています。そして、法益が侵害される客観的危険がある場合のみを未遂犯として例外的に処罰します。こうした近代刑法の原則からすれば、ただ会話したというだけの状態つまり法益の侵害には極めて遠い状態を処罰する共謀罪は、到底受け入れられないものです。

 

5.治安維持法との類似

 1925年に公布された治安維持法は、天皇制と私有財産制を守ることを目的とし、それを否定しようとする結社を取締まることを目的としていました。そして、1928年には、緊急勅令によって、「国体変革」に対する最高刑を死刑とする強行改正を行い、1941年の全面改訂では、「国体変革」結社の支援結社、準備結社や集団をも処罰対象とし、事実上だれでも犯罪者にできるようになりました。その結果、日本共産党から始まり、その周辺団体、合法的無産政党、宗教団体、学界、雑誌編集者、政府機関にまで適用が拡大され、思想、言論、信仰を弾圧したのです。特にキリスト教界においては、1942年に始まるホーリネス弾圧によって130名以上もの教職者が検挙され、獄死した者もありました。

 本法案の対象要件は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」とされていますが、「組織的犯罪集団」の定義がなく、労働組合や市民団体であっても、性格が一変すれば該当すると認めています。つまり、捜査当局が、その集団の性格が変わったと認定すれば一般市民であっても捜査の対象となり得るのであり、集団の犯罪準備段階の行為を捉えて規制しようとする点で治安維持法と共通しており、従って処罰対象が拡大される可能性が非常に大きいのです。

 そして、201312月に成立した特定秘密保護法、20159月に成立した安全保障関連法、20165月に成立した盗聴法・刑事訴訟法改正に引き続き、本法案が成立するならば、この国はますます市民監視・管理社会となり、民主主義が後退し、戦争のできる国作りへと加速します。

 

 かつて、ナチスの弾圧に抵抗したドイツ告白教会の指導者の一人であるマルティン・ニーメラー牧師は次のような詩を残しています。

「ナチスが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。

 けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。

 それからナチスは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。

 けれども自分は依然として社会主義者ではなかった。そこでやはり何もしなかった。

 それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、

 そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかった。

 さてそれからナチスは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であった。

 そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであった。」

 

 以上の理由により、私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は、手遅れにならないうちに本法案の危険性を警告し、廃案を強く求めます。

 

 

 



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